2023-2-2

あんしん先生blog23「透析」

皆さんは「透析」という言葉を聞いたことがありますか。
透析とは腎臓の機能を人工的に置き換える治療のことです。つまり、腎臓の機能が落ちた際に腎臓の代わりをしてくれる治療です。腎臓は体内において重要な役割を果たしています。腎臓が悪くなると、血圧が高くなったり、体のミネラルバランスが崩れたり、貧血や骨粗鬆症になったりします。腎機能が正常の10-15%以下まで低下すると、透析や移植などの腎代替療法が必要になります。

腎機能がかなり低下すると体内に溜まった尿毒物質を自分で排出できなくなるために尿毒症状や高カリウム血症、心不全などの症状が出現します。透析導入になる基準は、この症状・所見と腎機能・日常生活レベルとの組み合わせで導入時期を考慮します。腎機能が正常の15%以上あっても、上記の症状が適切な治療によって改善を認めない場合は透析が必要と判断されます。

腎代替療法は①血液透析、②腹膜透析、③腎移植があります。③腎移植は年齢の制限や倫理的条件や医学的条件が合う必要があるなどハードルが高いです。したがって、透析治療を行うことがほとんどです。透析導入の平均年齢は70歳、透析患者数は年々増加傾向にあり、2021年では約35万人。割合としては血液透析患者が約34万人、腹膜透析が約9千人で透析の95%以上が血液透析となります。②腹膜透析は自宅で行うことができ、通院も月に1、2回で済みますが、自身で透析を管理できる能力と環境が求められる上に継続期間は5年から8年と言われています。悪化した場合は血液透析に移行になります。①血液透析は、透析が行える医療機関で1日3〜5時間ほどの透析を週に3回行います。

透析は一人当たり月に40万円ほどかかると言われています。透析患者が全国で約35万人ですから、1年で約1兆6,800億円となります。これは国民医療費:40兆円の約4%にあたり、かなりの割合を占めます。したがって医療財政を考慮すると透析導入者を減らすことがとても大事になってきます。

透析導入の原因で最も多い疾患(全体の約4割)が糖尿病性腎症です。糖尿病が進行した末期の状態です。したがって、透析導入を減らすには生活習慣病を含めた予防医療が重要です。また、高血圧にならないような塩分制限などの食生活や体内のミネラルバランス異常を起こさないことも腎機能を悪化させないためには必要です。特に腎機能が悪化すると高カリウム血症になります。カリウム値が高いと心臓の不整脈が起きるリスクが高くなります。高カリウムと指摘された場合はカリウム摂取を控える必要があります。納豆やトマトジュース、バナナはカリウムを多く含む食品として挙げられます。したがって、食事制限も大事な治療の一つになります。

大事な腎臓の機能を低下させないように生活習慣も含め気をつけていきましょう。

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