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あんしん先生blog12「尿失禁」

最近、おしっこが我慢できずに漏れてしまう、または回数が多くなることはありませんか?年齢が上がるとどうしても頻尿になりやすくなります。

おしっこが漏れる(=尿失禁)原因には種類があります。
①腹圧性尿失禁、②切迫性尿失禁、③溢流性尿失禁などです。

①腹圧性尿失禁:くしゃみや立ち上がり、走った際など体動によって失禁が起こるもののことで頻度では一番多い種類です。加齢や出産が原因となり、女性に起こりやすいです。治療としては薬物治療や骨盤筋体操、膀胱吊り上げ術などの外科的治療が行われます。

②切迫性尿失禁:尿意があっても我慢できなくて失禁してしまう状態です。基本的に脳血管障害やパーキンソン病、脊髄損傷、多発性硬化症といった病気によって神経に障害が起こることで容易に排尿反射が起こり尿失禁してしまう(→神経因性膀胱)ために起こります。治療としては薬で排尿する筋肉の動きを抑制することが中心となります。

③溢流性尿失禁:体動や尿意に関係なく、尿失禁してしまう状態です。原因としては前述の神経因性膀胱や前立腺肥大症のように尿路が邪魔されることで生じます。治療としては、溜まっている膀胱から直接管を挿れて尿を出す導尿や尿道カテーテルを留置する必要があります。

男性の場合は前立腺肥大症が原因になることが少なくありません。前立腺では男性ホルモンが作られるので男性ホルモンが強い人は必然的に前立腺肥大症のリスクが高まります。治療としては男性ホルモンを下げる薬などや肥大している前立腺を切除する手術が行われています。

尿失禁は誰にでも起こりうるものであり、もしご家族やご自身に思い当たるものがあれば、どの種類に当たるかを考え、病院を受診してみてください。

介護においても利用者の方の尿失禁の原因について考えると対応を含め、アプローチしやすくなると思います。ただ実際の介護現場においては、夜間の尿失禁に対しては就寝前の水分摂取量を減らすことやご本人のサイズにピッタリのおむつをつけることが大事かもしれません。

あんしん先生blog11「睡眠時無呼吸症候群:SAS」

皆さん、夜寝ている際に、苦しくて目が醒めることはありますか?
また、家族にいびきがうるさいと言われたことはありますか?
そして、日中に眠気やだるさを感じることはありますか?

もし全て当てはまったら、睡眠時無呼吸症候群(=SAS)の可能性があります。
以下、睡眠時無呼吸症候群をSASと省略します。
一般人口の2〜4%にSASがいると言われていますが診断されないでいることが
多いのが現実です。SASがあると、高血圧、脳卒中、狭心症、心筋梗塞などの
循環器疾患を発症する危険が高まります。

具体的な例をあげるとすれば、

  1. 大きないびき
  2. 昼間の眠気
  3. 睡眠中に呼吸停止の指摘
  4. 高血圧
  5. 首の周囲径≧40cm
  6. BMI(体重kg÷(身長m×身長m))≧35
  7. 男性

この7つのうちで3つ以上当てはまるとSASの高リスクになります。

SASの診断にはポリソムノグラフィーという検査を行います。これは寝ている
際に行う検査で基本的に1泊入院して行います。(睡眠時の(無呼吸数+低呼吸数))÷睡眠時間=AHIという値を計算します。これは睡眠1時間あたりに何回無呼吸や低呼吸状態に陥るかの指標となります。
*無呼吸:10秒以上呼吸が停止した状態 低呼吸:息を吸う深さが浅くなり、
吸気振幅が50%以上減少する呼吸等が10秒以上続く状態

AHI≧5でSAS陽性→確定診断となり、そのAHIの値によって重症分類されます。
5 〈 AHI 〈 15:軽症
15 〈 AHI 〈 30:中等
30 〈 AHI:重症

治療としては基本的には生活習慣を治す必要があります。例えば、禁煙、禁酒、
肥満改善です。具体的には、比較的軽症例では寝ている際にマウスピース装着、
重症例だとCPAP(持続的気道陽圧法)という機器を導入する必要があります。

介護においても睡眠時の状態を確認することは、SASの有無の判断材料になる上、早期発見/早期介入により、その他の疾患発症リスクを下げることにもつながります。睡眠時も医学的には重要な指標になりますので確認していくことはとても大事だと思います。

 

あんしん先生blog10「胸痛」

皆さん、胸が痛くなったことありますか?
急に胸が痛くなるという場合は生命に関わることが少なくないため、注意する必要があります。

例えば、心筋梗塞という疾患をご存知ですか?
心臓を栄養する冠動脈という血管が何らかの原因で詰まってしまい、心臓の筋肉が壊死してしまう病気です。心筋梗塞になる危険因子として高血圧、糖尿病、喫煙、家族歴、高コレステロール血症があります。中でも、血圧水準、血清総コレステロール値、喫煙本数は心筋梗塞死亡と正の相関を示すことがわかっています。実際に我が国の心筋梗塞の合併率は高血圧が50〜55%、糖尿病が34〜36%、喫煙率が54%と高くなっています。

理由は動脈硬化が進行するためです。簡単に言うと、血管内にプラークと言われる塊が作られ、血管内を狭くさせ、血管の壁を厚くし血管自体が硬くなっていく状態です。そして機械的なストレスをはじめとするさまざまなストレスが加わり最終的に破綻すると血管が詰まってしまいます。

20分以上続く胸痛(圧迫感、絞扼感、息が詰まる感じ、焼けつくような感じ)を自覚した場合は、119番で救急要請をする必要があります。そのまま心臓を動かす心筋が腐ってしまうと血液を体内に送り出せることができなくなり、命を落としてしまうからです。つまり、とても緊急性が高いため早急に治療が必要なのです。

日本で心筋梗塞がもっとも多く起きると言われている日があります。それは、クリスマスの前日です。寒い冬の日で、家族や友人達と楽しくお酒や食べ物をたくさん飲食した際に、それらが契機となって生じるとされています。危険因子がある方はお気をつけください。

 


ところで、、、
先日、勤め先の病院にてコロナワクチン(ファイザー社製)を2回摂種しました。2回目の接種は1回目から3週間の間隔を空けます。個人的な感想ですが、刺された腕が翌日まで筋肉痛のような症状が出た以外は、特に大きな影響はありませんでした。広くワクチン接種が進み、一刻も早くコロナが収束することを切に願います。

あんしん先生blog9「全身麻酔」

皆さん、手術を経験されたことがありますか?

私自身はまだ経験したことがないのですが、手術をするということはとても大変なことだと医師になってから感じています。これから手術を受けられる方にとって少しでも役立てればと思います。

基本的に手術というと全身麻酔をします。麻酔とは鎮静、鎮痛、筋弛緩をした上で手術による侵襲(有害反射)を抑えることです.その間は深い睡眠状態になり、夢を見ているような状態です.したがって痛み等は感じません.ただ全身麻酔というのは基本的にはとても危険な状態です.

手術前は禁飲食になります。胃の中に食べたものが入っていると、反射によって口の中に出てきてしまい誤って肺に繋がっている気管の方に入り、誤嚥・窒息のリスクになるからです。統計的に手術中に起こった偶発症により死亡する例が1万例中6.78例います.そして麻酔が原因で10万例中1例という割合で死亡例があるのです.例えば、悪性高熱症などの遺伝的疾患がある人でリスクが高くなります.

実際に全身麻酔をかける時は、点滴から鎮痛薬、鎮静薬、筋弛緩薬、マスクから吸入麻酔薬を使います。鎮静薬としては基本的にプロポフォール(白い液体)を使います.投与されると眠くなり、意識がなくなります。血管に投与されるとピリピリとした痛みを感じるとよく言われる薬剤です。そして、筋弛緩薬を投与されると自身で呼吸ができなくなります.なので、マスクを使って人工的に換気を行い、挿管(気管に挿管チューブを挿入すること)を行います。そうすることで、呼吸を人工呼吸器で管理でき、全身麻酔状態となり、手術が行えるようになります.手術中は麻酔科医によって全身管理された状態になります。そして執刀医による手術が終わり麻酔から覚めた時、多くの方はあっという間のことのように感じ、何も覚えてないことが多いです。

また、手術前に検査をするのですが、これは全身麻酔に耐えられる状態にあるかを確認するために行います。全身状態や既往歴、胸部レントゲン、心電図検査を主に確認するのですが、既往によっては肺機能検査、心臓エコー検査等を追加で行う必要があります。そして、喫煙は麻酔する上でリスクになるため、喫煙歴は重要な指標になり、手術前は必ず禁煙期間を設ける必要があります。

手術に耐えうる体力があることはとても大事です。手術患者の高齢化も進んでいます。皆さんも手術ができる体力を維持していきましょう。そのことが健康年齢を引き上げることに繋がると思います。

あんしん先生blog8「ロコモティブシンドローム

新年、明けましておめでとうございます.

コロナ禍で大変な世の中ですが、2021年が皆様にとって素晴らしい一年になることを願い、新年のご挨拶とさせて頂きます.

さて、皆さんはロコモティブシンドロームという言葉をご存知でしょうか?
2007年に整形外科学会が提唱した際は全く浸透していませんでしたが、徐々に耳や目にする機会が増えてきたのではないでしょうか?

簡単に言えば、年齢を重ねると筋力が低下し、関節や脊椎などの病気を発症して、正常に動いていた運動器の機能が低下して日常生活での動作、例えば起立したり、移動したりすることができなくなる状態をいいます.実際にロコモになる人はメタボリックシンドロームと生活習慣病を併発しているケースが多いです.

今後の課題として、できるだけ早い段階でロコモになりそうな人を見つけ、適切なリハビリテーションや治療を行うことで健康寿命を伸ばすことがとても大事になります.平均寿命が長くても健康寿命が短いとADLが低下して介護や医療にかかわる時間が長くなる一方だからです。
病院で診療していると腰痛や膝痛を訴えているご高齢の患者様がたくさんいます.
特に女性は閉経後、ホルモンバランスが崩れて骨粗鬆症になりやすく、変形性関節症になるリスクが高まります.患部に負担をかける過度な運動や体重過多は症状を悪化させます.健康寿命を伸ばすためにも予防する必要があります.また、年配の方に多い大腿骨骨折は完治に時間がかかるため、そのまま寝たきりになってしまう可能性もあります.「自分はまだ大丈夫」ではなく、そのリスクがあることを念頭において行動することが大事です.たとえば、階段の昇降時は手すりを使う、またはエレベータやエスカレーターを使って転倒リスクや体にかかる負担を減らすなどです.かといってリスクを恐れて外出しない、歩かないなどということを推奨しているわけではありません.そうなると本末転倒です.適度な運動と歩くという動作は運動機能を維持するために必要ですのでできる範囲で続けていくことがとても大事です.

現在、コロナ感染拡大により医療崩壊が差し迫っており、病院内でもその危機感を日々感じながら業務しています。今や感染リスクはどこにでもあります。3密を避け、不要不急の外出を控えて感染リスクを下げなければなりません。一人一人の行動がとても大事です。
しかしそんなコロナ禍でも、運動不足にならないように、家の中でもできる運動、例えばスクワット等工夫して筋力低下を防ぎ、ロコモティブシンドロームにならないよう頑張りましょう。

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