2022-1-24

あんしん先生blog19「糖尿病」

糖尿病と聞くと皆さんはどのような病気だと思われますか?
一般的には生活習慣病の一つとして認識している方が多いと思います。

糖尿病は大まかに1型糖尿病と2型糖尿病に分かれます。1型糖尿病は全体の1割弱程度で、残りの9割強は2型糖尿病です。1型糖尿病の原因は自己免疫や原因不明であることがほとんどであり基本的に生活習慣病ではありません。一方、2型糖尿病は、暴飲暴食などの食生活の乱れ、運動不足などの生活習慣の乱れ、肥満、遺伝などが原因となるため、生活習慣病と言われます。基本的に糖尿病とは体内の血糖値を下げるインスリンと言われる膵臓から分泌されるホルモンが出なくなったり、出ても効かなくなったりすることで血糖が高い状態にあることを指します。

我が国では糖尿病有病者と糖尿病予備軍は、平成28年の 国民健康・栄養調査では約1,000万人、つまり日本人の10人に1人と推計されていましたが、令和元年のものによると疑いを含めると日本人の5、6人に1人だとも言われるほど増えています。

糖尿病の初期段階では症状はなかなか自覚しません。指摘されるとしたら健康診断などの採血結果が多いかと思います。初期症状としては手や足の痺れや痛み、皮膚乾燥やかゆみ、勃起不全(ED)、多飲・多尿・多汗・口渇などの症状があります。ただこのまま治療せず、放置していると合併症が起きる可能性が高まります。糖尿病の恐ろしさは合併症にあります。3大合併症としてよく言われるのが、「し・め・じ」です。
「し」は神経障害です。具体的には全身の神経に障害をきたし神経が機能しなくなるなどして、進行すると手や足の血流滞り、腐って(壊死する)しまいます。進行すると手や足を切断する必要があります。
「め」は目の障害で糖尿病網膜症と言われ、具体的には進行すると失明(糖尿病網膜症が失明の原因1位)してしまいます。
「じ」は腎臓障害です。糖尿病性腎症と言われ、具体的には腎機能が低下して人工透析を導入しないといけない状況になります。(糖尿病性腎症が人工透析の原因1位)
他にも心筋梗塞や脳梗塞のリスクになります。

糖尿病の指標とされるのが血中の血糖値とHbA1cという値です。血糖値は血中にある糖の量で空腹時血糖値の正常値は70〜109mg/dlです。HbA1cは過去1〜2ヶ月の血糖値が反映され、5.6%未満が正常とされています。従って、空腹時血糖が126mg/dl以上、HbA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病が強く疑われ、速やかに医療機関を受診する必要があります。

糖尿病を予防する上で重要なのは食事と運動です。好きだからと言って糖質が高いものばかりを食べたりするのではなく、バランス良く栄養を摂取し適度に運動していくことが糖尿病になるリスクを減らします。コロナ禍において、私が診たコロナ重症患者の特徴は高度肥満の方でほぼ間違いなく糖尿病を患っていました。現時点において重症化リスクに含まれます。ただの生活習慣病で片付けるのではなく、そういうリスクがあることを念頭におき、糖尿病にならない努力を個人個人がしていくことが大事だと思います。

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