「訪問看護部、社内セミナー」を開催しました。
平成28年5月18日(水)
「訪問看護部、社内セミナー」を開催しました。
テーマ
聴診器の使い方
訪問看護の場で使用できる代表的な器機として聴診器があります。今日は聴診器の使い方について、初診に戻って、一緒に確認していただきたいと思います。
聴診器を使用する主な目的として以下のものがあります。
- 心音の聴取
- 呼吸音の聴取
- 消化管蠕動音の聴取
- 血圧測定時のコルトコフ音の聴取
聴診器には、膜型とベル型があります。これらは以下のような特徴があります。
- 膜型
- 高音(100〜400Hz)を聴くのに適している。
- 強めに皮膚に押し当てて聴く。
- 皮膚に当てる力が弱いと、擦過音(ノイズ)が入りやすい。
- ベル型
- 低音(40〜100Hz)を聴くのに適している。
- 軽く皮膚に当てるようにして聴く。
- ベルを強く皮膚に押し当てると、低音が聞こえにくくなってしまう。
心音について:基本的にI音とII音で構成されます。
- I音
- 低く長めの音
- 僧帽弁と三尖弁の閉鎖音
- 僧帽弁の音は、心尖部で聴く。
- 三尖弁の音は、第5肋間胸骨左縁で聴く。
- II音
- 高く短めの音
- 大動脈弁と肺動脈弁の閉鎖音
- 大動脈弁の音は、第2肋間胸骨右縁で聴く。
- 肺動脈弁の音は、第2肋間胸骨左縁で聴く。
(左心系の大動脈弁が右縁、右心系の肺動脈弁が左縁、というところがポイントです。)
呼吸音について:下葉は左右とも背側にありますので、前胸壁だけでなく、背面の呼吸音をきちんと聴取することが大切です。座位が難しい患者さんは、側臥位になっていただくと背面の呼吸音を聴取できます。
消化管の蠕動音について:高齢者では、便秘や麻痺性イレウスもみられます。普段から、その患者さんの消化管蠕動音を聴いておくと良いでしょう。絞扼性イレウスで、蠕動音は亢進、麻痺性イレウスで蠕動音は減弱します。
本日は、聴診器の使い方について、確認していただきました。普段から聴診器を正しく使いこなすことで、より質の高い看護・医療を提供できると思いますので、ご参考になさってください。
あんしんケア 産業医 長谷川 巖

