【社内研修】医療スキル向上研修
医療スキル向上研修
日時 2013年7月4日(木) 18:30~
講師 産業医 長谷川 巖
テーマ:視力障害
目から入ってくる情報がなくなってしまったら、毎日の生活がとても不便になってしまいます。
本日は、眼について良く知って頂くために、眼の仕組み、そして物が見える仕組みについてご説明した上で、眼のご病気(白内障と緑内障)についてお話しします。
眼に関連するものの仕組み
〇涙:
眼の外側の上に涙腺があります。涙腺から流れてきた涙は、角膜を潤した後、涙小管→鼻涙管を通って、鼻の穴の中に流れ込んで、吸い込んだ空気を加湿する働きがあります。
〇外眼筋:
眼球を動かす筋肉は6種類ありますが、これらをまとめて外眼筋といいます。
眼の仕組み
①光は、角膜→前眼房→水晶体→硝子体を、通り抜けて網膜に達します。網膜には、黄斑、中心窩、という部位があって、この部位が最も物を良く見ることができます。
②網膜に到達した光は、錐体細胞(明るい光でカラー・色彩を認識する視細胞)と、杆体細胞(色彩は認識できないが、暗くても形態を認識できる視細胞)を通じて、視神経に信号として伝えられます。視神経から、脳に信号が伝えられ、脳で認識することで、「物が見える」のです。
これらの順路の、どこか一部が機能しなくなっても視力障害が起こります。
次に、眼の病気に関連した症状や、眼のご病気を紹介します。
〇飛蚊症
白い壁を見たとき、蚊のようなものが見える症状をいいます。蚊のようなものの数が少なければ異常ではないことが多いのですが、蚊のようなものがたくさん見えた場合には、網膜剥離の可能性がありますので、必ず眼科を受診してください。
〇白内障
水晶体が混濁した状態で、年齢とともにみられる事が多いご病気です。点眼薬による治療は進行を遅らせることはできますが、混濁してしまった水晶体を元に戻すことはできません。治療には、手術が必要ですが、多くの患者さんが「手術をして良かった。もっと早く手術していれば良かったのに」とおっしゃいます。眼科医に御相談ください。
〇緑内障
眼圧が上昇してしまうことで、最悪の場合、目が見えなくなってしまう危険性もあります。自覚症状は、眼痛、頭痛、視力低下などですが、閉眼してまぶたの上から眼球を触診すると、硬い眼球を触れます。お薬の副作用で、眼圧が上昇してしまうこともありますので、緑内障のある患者さんが、眼科以外の科を受診する時は、必ず医師に緑内障の治療中であることをお伝えください。
もし、「最近、テレビの画面がよく見えない」という高齢者がいらしたら、まずはテレビ画面にホコリが付いていないか確認しましょう。テレビ画面をキレイにお掃除するだけで、「あっ、よく見えるようになった」ということがあります。でも、「見え方がいつもと違う」、「お薬を変えたら眼が痛くなった」という症状があった場合には、早めに眼科を受診しましょう。
今日も一日、お疲れさまでした。
★次回の医療スキル向上研修は8/22(木)18:30~「高齢者の便秘と対策」です。