【社内研修】医療スキル向上研修
医療スキル向上研修
日時 2013年5月10日(金) 18:30~
講師 医師 医学博士 長谷川先生
テーマ:認知症
認知症は、介護保険サービス利用者さんのなかに、多くみられるご病気です。本日は、認知症について、お話ししますが、まずは脳におこるご病気の種類について、簡単にご説明します。
脳に起こるご病気の種類
〇脳出血
〇脳梗塞
〇変性疾患
〇脳腫腫瘍
〇外傷
これらのご病気のうち、脳梗塞のような脳血管障害で起こる認知症を血管性認知症といいます。血管性認知症の特徴は、「つまってしまった血管の、先にある脳だけがこわれる」というものです。もしも大きな血管がつまってしまったら命に関わりますが、小さな血管がつまった場合は、その部分だけは機能しなくなるけれど、残りの大半の脳は、機能していますので、患者さんご本人は、機能している脳の部分で「なにか、おかしい」と感じることが多いのです。また、血管性認知症の症状は「階段状に進行する」といわれています。つまり、安定期→症状の悪化→安定期→症状の悪化というように症状が悪化してゆきます。これは血管がつまってしまった時に、ガクンと症状が悪くなるもので、医学的な予防も重要ですが、自覚のあるご本人の心をサポートすることが、とても大切です。
また、昼夜逆転の睡眠リズム障害が起こってしまうこともあります。この原因には
〇お体や精神に起こったご病気
〇お薬による影響
〇環境の変化による影響
〇心の問題
など、様々なものがありますので、医師としては、原因をつきとめて対処する必要があります。しかし、昼夜逆転という症状を、あらためてよく考えなおしてみると、
①本当に問題なのか?
②誰にとっての問題なのか?
という疑問がでてきます。患者さんや利用者さん「ご本人」を中心に、これらのことについて、あらためて考えてみてはいかがでしょうか。
今日は、認知症をテーマにお話ししましたが、今後もより良い介護・より良い医療を目指して、みなさんと一緒に考え、行動してゆきたいと思います。
実際の脳の写真、頭部の断面写真を見ながらの説明は大変興味深く、わかりやすかったです。
脳血管性の認知症の特長を知った上で、よく傾聴し、間違ったことであっても否定せず共感し、礼節と敬意をもって接することができるよう努力して参りたいと思います。
また、認知症の方は誤嚥性肺炎を起こしやすくなりますので、食事はゆっくり摂ってむせないように気を付けて参りたいと思います。
他に、認知症の昼夜逆転・睡眠障害等、詳しく学ぶことができ、とても充実した研修でアッという間の1時間でした。
ご参加の皆様、大変お疲れ様でございました。ありがとうございました。
次回の医療スキル向上研修は 6月24日(月) 18:30~ 「難聴とコミュニケーション」です。