社内研修「排泄介助・おむつ交換」
日時:平成24年5月25日(金) 18:30〜
会場:当社研修室
講師:東海大学健康科学部看護学科 青木先生
テーマ:排泄介助・おむつ交換
排泄とは何か
■ 人が、生命を維持するために必要な物質を取り入れ、それを消化・吸収して体内の不要な代謝産物や有害物を、体外に排出すること。
排泄物
■便、尿、呼気中の水分・炭酸ガス、汗、月経血、乳汁、分泌物など
I.排泄に関する看護の意義
1.排泄の意義
(1) 身体的意義
- 生命と健康維持に必要な機能
- 健康状態に関する情報を与える
(2) 精神的意義
- 快適な排泄は満足感・爽快感・くつろぎ感を与える
- 排泄行動の自立によって自尊感情が高まる
(3) 社会的意義
- 社会生活の基盤となり、社会人としての自立につながる
2.排泄に関する看護の役割
(1) 患者の自立度に合わせた、安全・安楽な排泄方法を工夫する。
(2) 患者が気持よく排泄できるように援助する。
(3) 患者の排泄状態及び排泄物を正しく観察する。
(4) 適切な生活習慣の育成と自然排泄の促進を図る。
(5) 排泄障害に対する適切な援助を行う。
II. 排泄に関する基礎知識
1.尿の生成と性状
尿量:1〜2L/日
150〜300ml/回
回数:5〜6回
比重:1.015〜1.030
pH:4.8〜7.5
色:淡黄色、黄褐色
臭気:無臭(アンモニア臭)
2.排尿のメカニズム
3.排尿の異常
(1) 尿量
無尿:尿が生成されず排尿がない
乏尿:尿量が300〜500ml/日以下
多尿:尿量が2,000〜3,000ml/日以上
(2) 排尿回数
頻尿:10回/日以上
希(稀)尿または尿意減少:回数が少なくなった状態
(3) 排尿困難:排尿が正常に行われない状態。
尿意を催して排尿姿勢をとっても排尿が始まらない場合、いったん排尿が始まってもそれが終了するまでに正常以上の時間がかかる場合、の2つがある。
(4) 尿失禁:尿を膀胱内に保持できず、不随意に排出する状態。
(5) その他:排尿時痛等。
4.便の性状と排便機序
5.排便の異常
(1) 排出の異常
- 便秘:便の大腸内での通過時間が長く、水分が吸収されて硬くなり、排便困難を伴う状態。
- 下痢:便が大腸内を早く通過し、水分が吸収されず、液状またはそれに近い状態で便を繰り返し排出する状態。
- その他:便失禁:便が不随意に排出する。
6.自然排尿と自然排便の援助
排泄に必要な動作
(1)尿意・便意を感じる
(2)トイレに行こうと思う
(3)移動 (4)脱衣 (5)便座に座る
(6)排尿・排便 (7)後始末 (8)着衣
(9)手洗い

■ トイレまで移動できない場合
ポータブルトイレ、オムツ等の使用
7.自然排尿および自然排便の介助
(1) トイレまで移動できない場合
-自然排便・自然排尿への援助
(2) 腸内に便はあるが自力で出せない場合
-摘便・浣腸への援助
(3) 尿は貯留しているが自分で出せない場合
-導尿への援助
8.おむつ皮膚炎(かぶれ)
9.オムツ骨折
III.オムツ交換の実際
オムツに使用に対する留意事項
- 患者の自立度、排出量などを考慮してオムツを選択する。
- 排尿量や排泄パターンを把握して、交換時間を調整する。
- 患者の自尊心や羞恥心に配慮して援助する。
- 汚染部の感染を予防するため、新しいオムツに交換する前に汚染または洗浄を行う。
- オムツは正しい位置に当てる。
以上、イラストと実習で学び、大変楽しいお講義でした。
排泄は、健康を維持するという身体的意義と同時に人としての自立・自尊心を守るという精神的意義が大きいと実感します。
排泄ケアに関しては患者様の自尊心、羞恥心に十分に配慮してていねいなケアをして参りたいと思います。
