7月14日(金)『社内研修会』開催

日 時:2010年7月14日(金)18:30〜20:00
会 場:当社会議室
参加者:看護師・ケアマネージャー・介護福祉士 計15名
講 師:医師 山下朱生(あけみ)先生 [医療法人社団 順江会 総合病院 江東病院 泌尿器科部長]
テーマ:『泌尿器系の解剖と泌尿器科の身近な話題』

泌尿器系の解剖と泌尿器科の身近な話題

腎臓

解剖:胸椎12 から腰椎2,3 の脊柱の両側に左右1対
肝臓で上から圧迫され右側は左側よりやや低く位置
腎臓は後腹壁に接し、腹膜の後にある。 赤褐色で、形は「ハ」の字形のソラマメ状、両側の腎臓の上に三角形の副腎が帽子のように存在。腎臓は腹大動脈から分岐した腎動脈によって血液が流入、腎臓からは腎静脈を介して下大静脈に血液が流出。

働き:体内で発生した代謝で生じた代謝産物(老廃物)を血液から除去、尿として体外に排泄。 体内の体液の量と電解質の組成を一定に保つ。

    

尿管

解剖:腎盂より発し、脊柱の横を通り総腸骨動静脈を乗り越え交差し、膀胱へ。長さ約30cm、太さ 0.3~0.7cmの細い管。生理的狭窄部(結石がつまりやすい、腎盂尿管移行部、総腸骨動静脈交差部、尿管膀胱移行部の3ヶ所)構造は移行上皮、
粘膜下組織、三層の平滑筋層、結合織外層からなる。

働き:腎から膀胱へ尿を運ぶ細い管。尿管結石は代表的疾患で尿管腫瘍などの悪性腫瘍もある。尿管が細くなったり、尿管の病気でつまると、腎臓に水腎症をきたす。

膀胱

解剖:骨盤腔深部に位置、膀胱壁は漿膜, 筋層、粘膜より成立、ほとんどが筋層で外縦走筋層、中網状筋層、内縦走筋層。下腹神経ー交感神経、骨盤神ー副交感神経などの自律神経、脊髄神経の陰部神経による支配。

    

尿道

男性:約20cm、起始部に尿道を取り囲むように前立腺が存在、精液の一部を作る。

女性:約5cm、男性に比し可動性大きい。骨盤の底に、ハンモック状に広がる骨盤底筋群が、膀胱、子宮、直腸など骨盤内臓器を支え、出産や加齢により、骨盤底筋群が緩み膀胱や尿道が下垂)

【男女の違い】

男性:尿道が長い・尿道は前立腺の中を通る・外尿道括約筋が強い。尿道抵抗が強く、尿は漏れにくいが、逆に尿排出障害は起こりやすい構造。
女性:尿道が短い・尿道が下へ向かってまっすぐの方向に走る・前立腺がない・外尿道括約筋が弱い・膀胱下垂が起こりやすい→尿排出障害は起こりにくいが、尿が漏れやすい

前立腺

解剖と働き:クルミ大の実質臓器で膀胱頚部に存在、後部尿道がその前立腺中部を通り射精管が両側中下部を貫通。前葉、中葉、側葉、後葉の四部に区別でき、豊富な平滑筋があり分泌物圧出。尿道に近接した粘液腺がありこれを内腺と呼び、外側を外腺。精液の一部となる酸ホスファターゼ、クエン酸を含む分泌物を作り精子の働きを活性化。

      

尿の色について

尿の性質

弱酸性(pH5〜7)
むぎわら色(色素はウロクロム、ウロビリン)
1日の尿量 約1000ml〜1500ml
尿成分→水が95%、残りの5%は固形物
尿中の固形物質はほぼ一定(50〜70g/1日で、その中の半分は尿素)

固形物中
有機物→尿素、尿酸、クレアチン、馬尿酸
無機物→塩化ナトリウム、アンモニア、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、硫酸塩、リン酸塩

一般的に汚いものと思われがちだが、血液をろ過して造られるため、腎臓が健康な場合は排泄までは無菌。
排泄して時間が経つと、尿の中の尿素が外部から侵入した細菌によって分解され、アンモニア臭発生。
代謝物は水より比重が重く黄色または褐色成分は時間が経つにつれて沈殿=濁り。

尿の色 I

普通(正常)な尿の色
黄色〜琥珀のような淡黄褐色で透明

オレンジ色(真っ黄色)
ビタミン剤を飲むとオレンジ色、ビタミンB2は明るいオレンジ色<

色が薄く、ほとんど無色
糖尿病や尿崩症などは、尿量が多く、尿の色素成分ウロクロムが希釈されほぼ無色
多量の水を飲んだとき

黄褐色〜褐色(黄褐色よりさらに濃い色)
肝臓の代謝でできる色素が尿中→肝臓の病気、胆道系病気、肝機能異常、高熱、脱水症、発汗

尿の色 II

乳白色・白く濁る
リンパ球が混入している尿路感染症、膀胱炎、淋病など尿道炎の疑い、尿に脂肪が混入する場合

赤〜赤褐色
尿に血液が混じる場合は、腎臓か尿路の病気

黄緑色
緑膿菌感染、抵抗力の落ちた人や排尿障害のある高齢者の尿路感染症

血尿が見られる疾患

泌尿器科→腫瘍、結石、感染症、嚢胞性腎疾患、外傷、血管異常、奇形、腎下垂

腎臓内科→各種腎炎、lℊA腎症、腎動脈硬化症、高血圧性腎症、糖尿病性腎症

内科疾患の治療
(凝固障害)→ワーファリン、カリウム、アスピリン、小児用バファリン、パナルジンなど

過度の運動→特発性腎出血ないし良性血尿→原因不明

●ウロガードが紫色→紫色蓄尿バック症候群

I 排尿障害により長期間尿道カテーテルを留置
II 尿路変更:腎ろう 膀胱ろう 尿管皮膚ろう

原因:トリプトファン(必須アミノ酸)

    ↓腸内細菌

インドール

      ↓肝臓で硫酸抱合

インジカン(尿中へ排泄)

          ↓尿中細菌により加水分解

インドキシル

      ↓2分子融合酸化   ↓酸化

インジゴ青

イサチン

       ↓2分子融合

インジゴ赤(インジルビン)

ともにプラスチックポリマーに付着しやすい
紫色蓄尿バック症候群

実際の原因

  • 長期尿路カテーテル留置に伴う尿路感染症
  • アルカリ尿
  • 便秘(腸管のインドール産生、再吸収↑)

対応

  • 細菌の除去 カテーテルフリー 間欠的自己導尿
  • 抗菌剤投与→有熱性尿路感染症などの投与適応がなければ耐性菌増加のもと

カテーテルについて

  

カテーテル抜去困難

原因:結石の付着。感染結石でリン酸、マグネシウムアンモニウム、リン酸カルシウム、プロテウスやウレアプラズマなど尿素分解酵素産生微生物

対処:レントゲン下で結石を脱落させる。体外衝撃波結石破砕、内視鏡的処置

いずれも専門へ

短期間でのカテーテル閉塞の原因

剥離、脱落した尿路粘膜上皮、結晶、結石。特に尿路感染

長期留置例では避けられない

細菌が産生する菌体外多糖、増殖しポリマーで包まれた細菌バイオフィルム形成。
これにより閉塞

短期間でのカテーテル閉塞の対応

  • 膀胱洗浄(下方,背側に沈殿している膿状、砂上の異物を除去する目的)
  • 水分摂取
  • 体位変換
  • 尿の酸性化(なかなか困難)
  • カテーテルの素材検討

尿道カテーテル周囲よりの尿漏れ

カテーテルの閉塞(+)→膀胱洗浄、カテーテル交換
カテーテルの閉塞(-)

・注入した生食が回収不能→カテーテル固定水確認、折れ曲がり
・注入した生食が回収良好

注入時カテーテル周囲からの尿漏

膀胱無抑制収縮、膀胱容量の減少

膀胱結石、尿路感染など器質的変化の除外の上、抗コリン剤投与

バルーンカテーテル留置の方へ

以下の点に気をつけましょう。

  • 感染の予防:カテーテル留置中は尿路感染症になりやすい状況なので、尿量が1日1500〜2000mlなるよう水分摂取をしましょう。
    カテーテルは定期的に交換しましょう。
    入浴、シャワー浴をし清潔にしましょう。(入浴時は、カテーテルキャップを使用)
  • 尿量減少: 尿量の減少を認めたら、カテーテルの屈曲・閉塞を確認しましょう。
  • 潰瘍の予防:カテーテルを長期留置することにより、尿道の潰瘍を生じることがあります。カテーテルの固定に気をつけましょう。また、カテーテルは引っ張らないように注意しましょう。
  • 採尿バックの取扱いについて
    ○採尿バックは1〜2週間で交換しましょう。
    ○腰より低い位置に置きましょう。

風邪症状を伴わない高熱・ 閉塞を伴う血尿などの症状がある時は、早めに病院を受診しましょう。

過活動膀胱 尿意切迫と失禁

   

参加者の感想

  • 腎臓等の臓器の正確な位置関係が改めてよくわかり、又 尿の色の違いによる疾患も教えて頂き、大変興味深く学ぶことができました。
    個人的に自分が腎臓がわるいのでは...と不安に思っていましたので、研修の中でそうではなさそう...とわかりホッとしました。
  • 膀胱は筋肉なので筋トレが必要。頻尿防止には水を沢山飲んで2回に1回は我慢して膀胱の筋肉を使う訓練をすると良い(膀胱炎は別)等のお話しを聞き、さっそく実践しようと思いました(笑)
  • 学生時代は睡魔と子守唄の様な先生の講義と時間との闘いでしたが、訪問サービスという実践の場で疑問に感じながらケアしていた中で、医師の講義を拝聴できる機会を作って戴いた事は大変有難く有意義な時間でした。

    また資料に関しても、プロジェクターの導入により実際の性状や色調など具体的で解りやすく、何が異常で何が正常か判別しやすかったです。
    質問に対しても解答は掘り下げて分かりやすく丁寧な説明をして戴きました。貴重なお時間をさいて講義して戴いた先生に感謝いたします。

  • 以前より疑問に思っていた夜間頻尿について、具体的にアドバイスを頂き大変ためになりました。
    また、解剖学的にさまざまな症状や疾患について、ウロバック症候群や男性のバルン交換等、訪問をしていて身近なことについても教えて頂きとても学ぶことが多かったです。今後の訪問に生かしていきたいと思います。これからもご指導頂けたら幸いです。本当にありがとうございました。

社内研修会の模様

alt= alt= alt=
お問い合わせ
お問い合わせ
あんしんネット
あんしんネット
介護QアンドA
介護QアンドA