2010-6-3

『西区訪問看護ステーション連絡協議会』開催

日 時:平成22年5月25日(火) 10:00〜11:10
会 場:あんしんケア株式会社 会議室
参加者:横浜市健康福祉局・西区役所高齢支援課・各包括支援センター・
各訪問看護ステーションより
計19名

新年度になり初の『西区訪問看護ステーション連絡協議会』を開催致しました。お忙しい中、沢山の重要な立場の皆様にご出席頂きまして心より感謝申し上げます。
区役所高齢支援課の活動、また包括支援センターの活動の紹介、各訪問看護ステーションの皆様の自己紹介等々、有意義な協議会とすることができました。大変にありがとうございました。
特にこの度は横浜市健康福祉局 企画部の梅澤係長様にご出席頂き「在宅医療をめぐる現状」についてお話し頂きましたので、ここにご紹介致します。

在宅医療をめぐる現状について

1. 横浜市内の一人暮らし高齢者・高齢夫婦のみ世帯の推移

高齢者の世帯構成 1995年 2000年 2005年 2010年(見込み) 2015年(見込み)
一人暮らし 47,448 73,990 97,621 129,000 170,000
夫婦のみ
男性65歳以上
女性60歳以上
68,493
(136,986)
96,440
(192,880)
24,331
(248,662)
160,000
(320,000)
210,000
(420,000)

※2015年の65歳以上高齢者数 = 89万人
(17万人 + 42万人) ÷ 89万人 = 66%が独居・老々世帯

2. 2015年の高齢者を巡る状況

○ 団塊の世代がすべて65歳以上に達する

高齢者人口は継続して増加
2015年には団塊の世代が前期高齢者(65〜74才)に到達。
横浜市の高齢者人口は89万人(75才以上は42万人)高齢化率23.8%に。
認知症高齢者が7.3万人
市内で5.7万人の認知症高齢者(認知症自立度II以上)が今後も増加し、2015年には7.3万人
☞高齢者の約12人に1人が認知症に。
高齢者の一人暮らし世帯が17万世帯
2015年には一人暮らし世帯が約17万世帯に達し高齢夫婦のみ世帯も約21万世帯に増加し、孤立死等のリスクが増加する。
今後急速に高齢化するのは郊外部
2015年には一人暮らし世帯が約17万世帯に達し高齢夫婦のみ世帯も約21万世帯に増加し、孤立死等のリスクが増加する。

3. 横浜市内の認知症高齢者数

要介護認定結果から集計:平成21年3月末

認知症自立度 人数
自立 28,094
I 何らかの認知症症状はあるが日常生活は家庭内・社会的にはほぼ自立 22,311
II 日常生活に支障をきたす症状・
行動がみられるが誰かが注意していれば自立可
IIa 家庭外で症状がみられる 11,991
IIb 家庭内で症状がみられる 19,227
III 日常生活に支障をきたす症状・
行動がみられ介護が必要
IIIa 日中を中心に症状がみられる 14,214
IIIb 夜間を中心に症状がみられる 3,665
IV 日常生活に支障をきたす症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁にみられ常に介護が必要 6,423
V 著しい精神症状や問題行動、あるいは重篤な身体疾患が見られ専門医療が必要 1,906
合計 107,831

(うちII以上 : 57,426  53.3%)

※上記の人数は要介護認定者の内訳であり、認定非該当者・若年認知症者を加えるとこの人数以上の認知症患者が存在する。

4. 今後の横浜市の高齢化の進展

横浜市将来人口推計:2005年基準

年次 総人口 65歳以上高齢者数 高齢化率
2010年 368万人 74万人 20.2%
2015年 373万人 89万人 23.8%
2020年 375万人 96万人 25.6%
2025年 374万人 100万人 26.8%
2030年 370万人 106万人 28.7%

⇒10年後には横浜市民の4人に1人が高齢者に!

5. 横浜市民の「心配ごと」

横浜市「平成21年度市民意識調査結果速報」:平成21年9月

○自分・家族の生活を巡る心配・困りごと(3つまで複数回答)
・「自分の病気や老後のこと」が5年連続トップ

年  度 H21 H20 H19 H18 H17 H16
自分の病気や老後のこと 41.7% 40.9% 39.3% 37.2% 38.6% 38.8%
家族の健康や生活上の問題 37.0% 37.8% 33.7% 34.8% 33.7% 35.3%

○横浜市への要望(上位5位までの経年変化)
「病院や救急医療など地域医療」が18〜20年度の3年間で急上昇
平成15〜17年度は6位以下、18年度31.5%(3位)、19年度33.2%(2位)
20年度41.0%(1位)、21年度35.1%(2位)
※21年度の1位は「高齢者福祉(35.5%)」

6. 在宅療養を巡る市民意識

厚生労働省「終末期医療に関する調査」:平成20年3月

○終末期の療養の場所
63.3%が自宅を希望

  • 自宅で療養し必要になれば医療機関に入院したい     23.0%
  • 自宅で療養し必要になれば緩和ケア病棟に入院したい   29.4%
  • 自宅で最後まで療養したい               10.9%
  • なるべく早く今まで通った医療機関に入院したい     8.8%
  • なるべく早く緩和ケア病棟に入院したい         18.4%
  • 専門的医療機関で積極的に治療を受けたい        2.5%
  • 老人ホームに入所したい                1.0%
  • その他、わからない・無回答              6.0%

※終末期 = 自分が余命6ヵ月以内の末期状態の患者になった場合

7. 終末期の治療についての意識

○自分が余命6ヵ月以内の末期患者になった場合、延命医療を望むか
⇒ 望まない人が71%

  • 延命医療を望む                     11.0%
  • どちらかというと延命医療は望まない           33.9%
  • 延命医療は望まない                   37.1%
  • わからない・無回答                   18.0%

○延命医療を望まない者(71%)が望む医療・ケアの方法

  • 痛みをはじめあらゆる苦痛を和らげることに重点を置く   52.0%
  • 延命医療を中止して自然に死期を迎えさせるような方法   28.3%
  • 医師によって積極的な方法で生命を短縮させるような方法  4.7%
  • わからない・無回答

8. 終医療制度改革と療養病床の再編

○市内の療養病床数
介護療養病床  約800床(H24年3月末で廃止方針が打ち出されたが、政権交替により凍結中)

○24年度以降の見込み
医療対応機能を高めた「医療強化型老人保健施設」という類型が導入されているが、市内の介護療養病床の設置者はほとんどが医療療養病床への転換意向である。
⇒療養病床数自体は大きく減らないが、症状の軽い患者(「医療区分1」「医療区分2」の3割程度)は退院を促される状況となるため、在宅や介護施設で受け入れられる環境づくりが必要。

9. 今後の取組の方向性

○在宅療養支援診療所の確保
在宅医療に携わる医師が増加するよう、医師会と協働して情報提供・研修会等を実施

○訪問看護ステーション向けの支援
24時間応需の訪問看護ステーションが増加するよう訪問看護師確保に向けた研修会等を含む支援を実施

○市内の病院への要請
在宅療養患者の容態悪化時に入院に応じる病院が増加するよう病院協会の協力を得て要請

○在宅療養関係者間の連携強化
身近な地域における在宅療養関係者間の連携強化を図る為、区レベルの協議組織を整備し、日常的な連携が図られる環境を整備

以上、大変有意義な研修をして頂きました。
梅澤係長様、大変にありがとうございました。

◎訪問看護ステーションの役割は増々重要になることは間違いありません。高齢化社会の中で大いにその使命を果たすべく努力して参りたいと思いますので今後共宜しくお願い致します。

最後に訪問看護ステーションでは常に看護師不足に頭をかかえております。看護師の資格をお持ちで今現在、そのお仕事をされていない方もたくさんいらっしゃるかと思います。是非、在宅医療の分野で皆様のもつ社会的使命を果たしながら、有意義なお仕事をして頂ければと切に願うものでございます。
訪問看護ステーションとして一緒にお仕事をして下さる看護師の皆様をお待ちしておりますので、是非お力をお貸し下さい。どうぞよろしくお願い申し上げます。


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